魔女よ唇を閉ざせ


 「ずいぶんぼうっと歩いてたわね。考え事? らしくないわ」
 
 こっちの台詞だ、と喉まで出かかったのを、しかしバトーは寸前で飲み込んだ。     
 オフスタイルの素子に街で出くわすのははじめてではない。けれども、女のよそおいになどてんで興味のないバトーでさえ、その日の素子のこしらえの常ならぬ華やかさには見過ごせないものがあった。おのれの疎さを重々承知しているからこそ、こんな自分でも気付き得るほどに丹念にめかしこんだ彼女の姿を見て、いいしれぬ懐疑は増すばかりだった。

 オンオフ問わず、素子は露出の多い服装をこのんだ。よく締まったふくらはぎを惜しげもなく衆目に見せつけるローライズジーンズなどはまだ序の口といっていい。豊満な尻肉もほとんどあらわな、水着のほうがまだ慎み深いようなしろものを平然と着てきたこともある。当然彼女がちょっとおもてを歩けばたちどころに様々の視線にさらされることになった。そしてこれも当然と言えば当然だが、そんな視線のもちぬしは圧倒的に男だった。いたるところで素子は男どもの注視を受けた。そのたびバトーはむしょうに拳が肉を打つ感触が恋しくなるのだったが、とうの彼女はといえば気にするそぶりもなく、気前よくその肢体を晒しつづけた。 
 
 世界屈指の義体使いの呼び声高い彼女は、職務柄、他の義体やリモート人形のたぐいを操る・あるいは入る機会が非常に多い。ゆえになにかと、己の肉体というものに関してアイデンティティが揺らぎがちだ。ときには男の義体をさえもちいることもある。だからこうして、皆がいちばんよく認知している「草薙素子」の義体を使っているときは、いっそう女であるパーツを強調し、誇示し、女の身体を有する「草薙素子」を再確認しているのだ、性的に奔放なのも、肉体同士のフィジカルなふれあいによって自己の再確認をしているからだ……いくらそれらしい理屈をつけて当座は自分を納得させようと試みても、結局九課に帰ればトグサに心配されるほどサンドバッグを打つはめになった。

 
 しかしふしぎなことにふだんの装いのほうが、今の彼女の格好よりずっと堅固なものにみえた。膝がすっかり覆い隠されるシンプルなデザインの黒いワンピースの上にベージュのボレロをはおった素子は、せいぜい財布と電話ぐらいしか入りそうにないこぢんまりしたバッグを肩からさげていた。首元ではきゃしゃなネックレスがつつましやかに光っている。
 万物にやわらかくはたらきかける春の日差しに手伝われ、よりいっそうたおやかな女の匂いが漂ってくるようであった。バトーをはじめとした屈強な男どもを率い、天分のカリスマを惜しげなくふるう彼女は、自然の光までも味方につけられるらしかった。
 だが、あの身体の線がくっきり浮き出る忍者服を纏って激戦の先鋒に立つ彼女より、露出過多の私服で練り歩く彼女より、上から下まで楚々とした女の身なりをし、いっさいの物理的・心理的武装を感じさせないいまの格好のほうがずっと丸裸に近い……バトーは蚊を払うように、やかましくついてまわるその考えを脇へ脇へ追いやった。 
 
 「これから人に会うの」
 と手短に彼女は説明した。その人とやらと彼女とがどんな間柄にあるのかの言及は省略された。しかしたとえただの友達と但し書きのついたところで、バトーに安穏がおとずれるかといえば一概にそうとも言い切れないのだった。
 素子の言う「友達」の定義が実に広義にわたるのはすでに九課では周知の事実だ。同性であろうが異性であろうが、肉体関係のあろうがなかろうが、依然として素子は彼ら彼女らと快活な「友達」の関係であることを主張するだろう。       
 
 「で、さっきは何を考えてたの?」
 「……考え事じゃあねえよ。電脳のクリーンアップだ」
 
 ネットに接続している以上、電脳にもキャッシュが蓄積する。バトーは大戦時代に膨大な軍事マニュアルを詰め込むためにメモリの拡張や増補をしていたから、必然的にキャッシュも常人の倍溜まるのが早く、こうして定期的に手を入れてやらねばならない。
精度がいいというのは決してよいことづくめなばかりではなく、こういうふうに思わぬところで弊害が出る。キャッシュの溜まりの早さも、休日の人出の多い繁華街から、小さなしゃれたブティックのショーウィンドウを眺めている素子を発見してしまうような鋭敏さも、精度のいい電脳の弊害だ。世の中は万事多少鈍感なほうがうまく渡れるようにできている。よくよく承知しているが、なまじ性能のいいオツムをつんでいるせいで、世におびただしくあふれかえった情報にそそのかされる機会をふやしてしまう。

 「じゃあ暇ね。だったらちょっと、手伝ってほしいの。安心して、そんなに時間はとらせない」
 「手伝うって、なにをだよ」
 「これ」
 素子はまずショーウィンドウを指差し、つづけていま自分が履いている黒いパンプスをしめした。なめらかな線でえがかれた足の甲をのせているのは、ベロア素材の黒いパンプスである。バトーはもちろん知らないけれど、バトーの靴箱の中身をかきあつめても到底手の届かない値打ちの靴だった。

 「わかんねえよ」
 「言ったでしょう、人に会うって。だからいろいろめかしこんではみたんだけど、さっき駅の鏡を見たら違う、ってなったの」
 「なにが」
 「だから、靴よ」
 「靴ゥ?」
 「なんというか、華がなさすぎると思わない? そりゃあ素敵な靴よ。ルブタンでひとめぼれして買ったんだもの。でも今日の服装にこれだと、無難すぎるのよ。多少の遊びがほしいの。いったん気になりだすとダメね――とにかく今すぐ靴を新調しないといけないって急かされてる」
 「お前のゴーストに?」
 「ええ、あたしのゴーストに」
 あからさまに投げやりなバトーの言葉にも、素子は涼しい顔で応じてみせる。彼女はたいてい冷静で論理的であったけれど、それでもやはり女らしい、独自のロジックを持ち合わせてはいた。こうなるとバトーには理解がむずかしい。眼前にいるのに百億光年ほど離れた場所にいるような気分になってくる。時代遅れの通信ラインを用いてコンタクトをとっているようなもどかしさがある。 
 
 「大切な用事なのよ。万全の状態でのぞみたいのに、どれがひとつでも気にかかってたら楽しめないわ。だから新しい靴を買おうと思ってるし、その選択をあなたにゆだねようってわけ。自分で選ぼうとするとどうしてもいつもと似たり寄ったりになるのよね」
 「やめとけ。そういうときにこそ慣れない靴は履くもんじゃねえ」
 「あら平気よ。会うのはちゃんとエスコートしてくれる人だから。最近の男にはいないほど紳士なの」  
 いよいよバトーの胸中は不穏な軋り音をあげはじめていた。男でも女でも差別せず、「友達」としてつきあい、「友達」としての行為をするのはよく知っている。だから、会うのが男でも女でもこの不穏の熱量はさして変わらないはずなのに、男だと知れたほうが、相手が女であるよりずっとバトーの拳はうずいてくる。理由は明白だ。自分も男だからだ。  
 
 素子がいちいちこういうもったいぶった言い回しで情報を小出しにしてくるのには、彼女はともすると自分の度量を試していて、むやみと心が揺らいでいるさまを見ておもしろがっているのではという疑念が一瞬よぎった。そして直後に、そのあまりにも子供じみた発想にバトーはあきれかえった。いまどき女を知りたての大学生だってそんな連想は抱かない。自分は彼女を三流ドラマの性悪女とでも思っているのだろうか。恥ずかしさのあまり、よっぽど拳を自分の顔面にブチ込んでやろうかとさえ思った。

 メスゴリラだのアマゾネスだのとみな忌憚ないあだ名でもって彼女の勇猛さを評するが、バトーにとって素子という女はどこか魔法使いじみて感じられる。ため息の出るぐらいなんでも出来るし、ひどく身軽だ。ガラスの靴一足でお城に持ち帰れるお姫様とちがって、魔女を手にすることはとてもむずかしい。魔女はいつも完璧なタイミングで登場する。完璧な手際で成すべきを成し、あとは邪魔者にならぬよう未練なく物語から退場していく。彼女は誰のお姫様にもならない。
そしてバトーの目の前にいるこの魔女は、唇をすこし動かしてひとつふたつ言葉をつらねれば、いともたやすくバトーを、青臭い、洟たれのティーンエイジャーのガキに戻してしまうこともできる。、まるで呪文のようだ。これが一等やっかいだった。
 
 「おまえらしくない人選ミスだぜ、少佐殿。パズにでも頼みな。俺よりいいセンスしてる」
 九課きっての女性通の名前をあげてやる。九課では並ぶもののない華麗なる女性遍歴からくる経験は女物への審美眼やセンスにまでしっかり報い及んでいるらしく、トグサなどは細君への贈り物となるといの一番に彼を頼るのだった。 
 しかしこのはなはだ論理的な提案を、即座に素子はこうやっつけた。
 「あたしはあなたを頼ってるのよ。こんな機会は滅多にないんだから、受けてみても損はないんじゃない? タチコマにならって言えば経験値上昇のチャンスよ」
 「そうだろうよ」
 もはやバトーはこれ以上の抵抗をあきらめた。彼女が命じればどんな戦闘の前線にもアイマム、と突っ込んで行くけれど、世の中にはこういう可憐さ美しさを競うきらびやかな前線もある。そして百戦錬磨のバトーといえどこの前線においては、途方に暮れた新兵卒も同然だった。  
 とりあえずざっと見渡してみる。シンプルなものから華美なもの、かたちの優雅なのから機能的なもの、実にさまざまの靴が並んでいる。けれどバトーにはそれらの区別もよしあしもわからない。 
 視界は徐々に各々の靴の踵の高さにフォーカスされていく。すると彼の優秀な電脳は記憶野から素子の身長データをひっぱり出してきて、さらにはクリーンアップ中のキャッシュの中のある記憶が、ちらちらと明滅し始める。
バトーは戸惑った。自分はなにを思い出しているのか、どのような意図でもってそれを思い出したのか、あまりにも明白だった。しかし、やめろ、と思ったときには遅かった。手が動いて、ショーウィンドウの中の一角を指差していた。
 
 「……その、右から三番目のマネキンが履いてるやつがいいんじゃねえの」
 「これ?」
 バトーがうなずくと、素子はすぐにきびすを返してブティックの中に入っていってしまった。何か声をかける暇もない。数分後出て来た彼女の足は、バトーの選んだ真新しい靴におさめられていた。
 「……いくらなんでもさっさと決めすぎじゃねえか」
 「だって私はあなたに選んで、って言ったんだもの。あなたに選択をゆだねた以上は私に意見や躊躇の余地なんかないわ」
 非常に筋の通った答えなので、バトーはそれ以上何も言わなかった。

 ひかえめなパールのきらめきが美しい銀色の靴である。親指から中指まで見えるオープントゥになっていて、そこから海のような青さのペディキュアがさしのぞいていた。
 風呂あがりにソファの上で膝を立て、細やかな手つきで足の爪にそれを塗っている素子をバトーは想像する。今日のために丹念に、長い睫毛を伏せながら、彼女は仕事のときと同じくらい真剣に、おのれの爪をいろどっている。彼女の肌は全身くまなく人工皮膚であるけれど、いつも清水で洗われているようなその白さとみずみずしさはたんなる人形のそれとはずいぶん違う。女らしいこまやかな丹精が可能にした、凡庸だが決して科学の及びつかぬところにある美しさなのだった。

 「いい色だな」
 素子はちょっと意外そうにバトーを見た。しかしすぐに微笑んで、 
 「ありがとう」と言った。
 このあと彼女が会うという男が、ひょっとしたらベッドの上で彼女のペディキュアにめざとく気づき、バトーよりももっとたくみな言葉でほめるかもしれない。だが、いちばんはじめにこの色を見出し、その美しさを認めたのは他でもない自分だという実感がバトーの胸を満たす。まぎれもない優越感だった。
 「でも意外ね。こういう可愛い靴が好みだなんて。もっとヒールが高い、セクシーなものが好きかと思ってた」
 「五センチありゃ充分だと思うけどな。だいたいどうでもいいだろ俺の好みなんざ……。女の靴なんかわからねえし、カンだカン。一番最初に目についただけだ」
 「そう? そのわりに結構いろいろ見回してなかった?」
 「お前が今から会う男よりでかくなっちまったら、一緒に歩く相手の男が恥かいちまうからな。高さには気をつけてやったんだよ」
 なにがおかしいのか、素子は朗らかな少女じみた笑い声をあげた。
 「それは絶対大丈夫よ、なにを履いて行ったとしてもね。それにそんな小さいことを気にする器の人じゃあないのよ」
 ほころんだ彼女の唇の、いつもより濃く色づいた薄紅色がバトーの目にはとりわけあざやかに見えた。

 魔女はだれのお姫様にもならない。器の大きいという紳士の姫君にも、バトーの姫君にもなりえないだろう。時には自分自身に魔法をかけてお姫様のようなはなやかな装いをするかもしれない。ローライズジーンズを脱いで、黒い楚々たるワンピースにベージュのボレロをひっかけることもあるかもしれない。けれどそれはいっときにすぎないし、彼女は依然として美しい魔法使いであり続ける。これ以上ない完璧なタイミングで現れて、完璧な仕事ぶりで登場人物を幸せにして、物語から消えてしまうのだ。
 魔法なんていらないと、バトーは思う。魔法よりも、それを使う彼女をどうにかして自分の物語のうちに繋ぎとめておきたいのだ。 

 けれどその願いはかなわない。去りぎわ、彼女は最大級の魔法をたやすく行使していく。
 「ところでバトー、気付いたことがあるのよ」
 「……なんだよ。俺のセンスの悪さなら今さらだぞ」

 「まさか、違うわよ――あなたってすごくいい唇のかたちをしてるのね。この高さだとあなたの唇、いちばん色っぽく見えるの」
 こんな不可避の呪文を真正面から受けて、バトーは打たれたようにその場から動けなくなった。その間にも素子は何かひとことふたこと口にして、そうして軽やかにバトーの前から姿を消してしまったのである。


 ――その会話は、消去するはずのキャッシュの中にまぎれこんでいた。
若者むけのコーヒーショップできいた、罪もなければやくたいもない、おまけにしょうもない会話だった。これだから精度のいい電脳はやっかいだ。遅々としてすすまないレジの行列に耐えかね、暇をもてあまして耳を傾けた、それだけなのだ。とくべつ意識をむけたわけでもないのに、こういう会話まで律儀に長期記憶野にふりわけられてしまうのだ。  
バトーの後ろに並んでいた女子大生たちの、世にものんきであかるい嬌声が脳内に響く。
 ――ねえ、昨日テレビでやってたんだけど、カップルには理想の――っていうのがあって――

 バトーは蚊を叩き潰すように、その情報を電脳の長期記憶野から消去した。 





 後日、素子があの日待ち合わせていたのは荒巻であり、用事とは彼とのホテルでのランチと発覚した。それを知らされたバトーはどうしたかと言えば、ハンガーでむやみやたらと筋トレにはげんでいた。その横で、ボーマとトグサがしごく平和な話題で盛り上がっている。
 
 「このあいだテレビ見てたらさあ、カップルの理想の身長差~とかいうのやってたわけ」
 「あ、それ俺も見たかも。たしか十五センチだっけ」
 「そうそう。で、キスがいちばん綺麗に見えるシルエットでもあるんだと。でもよ、それ気にしたら俺なんかバレーボール選手の女としか付き合えねえじゃん?」
 「あれぇ、でもそれってヘンじゃないですか?」
 ふたりの会話をきいていたタチコマがアイボールをぐるりとめぐらせて、無邪気に疑問の声をあげた。 

 「一般的に人間ってそういう肉体的かつ性的な接触は隠す傾向にありますよね? 交尾を隠れて行うのって人間ぐらいのものだし。 もちろん、あえてそういうのを第三者に見せることで性的興奮を得る嗜癖もあるっていうのは知ってますし、理屈としてはわかるんだけど~」
 「お前、そういうのどこから覚えてくるんだ?」
 トグサが怪訝そうに眉をひそめる。ふつうの人間がこういう話題を口にする時は当然口調も下卑たものになるが、概念的にしか猥褻さというものを解せないAIが、まるで教師に答えを求める時のような声と口ぶりで話すので、よけい奇矯にきこえた。 
 「トグサくんは、そういう『あえて見せる』のが好き?」
 「な、なんで俺に訊くんだそんなこと! 普通だよ、普通!」
 「普通? 人並みに興味があるってこと?」
 「いや、だからその」
 「俺も気になるな、どのへんまでならいけるんだ」
 いつの間にやら、肩からライフルケースを提げたサイトーがトグサの後ろに立っている。いままで薄暗い射撃場にこもりきりだったため娯楽に飢えているのか、出てきて早々に見つかった格好のからかい相手を前にして口元が愉快さを隠しきれていない。
 「サイトーまでなんなんだよ! ああ、ほら、そういうのはやっぱり時と場合と雰囲気によるもので」
 「なるほど、お前やっぱり雰囲気に呑まれるタイプか。覚えておく」
 「あああ! もういいだろこんな話!」
 「でもでも、一般的に言ってキスっていうのは恋愛関係にある二人が行う、当人間だけの、ごくプライベートな行為とされてますよねえ? お互いに相手の顔しか見えてないし、多くの場合目を閉じたりもしますよねえ? それなのに第三者の目線から見た美醜を気にするのって論理的じゃないというかあ……ねえバトーさん、どう思う?」 
 
 かわいいタチコマに意見を仰がれたものの、バトーは「知らねえよ」とあくまで我関せずを貫いた。しかし、九課いちばんの古株である男はこのそっけない返答の中にたしかな苛立ちを感じ取ったらしかった。別のタチコマと将棋に付き合ってやっている傍ら、ふりかえって、にやけ面でバトーに声をかける。
 「そういやお前たしか一八七あったよな? ちなみに少佐は一六八センチだぜ」
 「イシカワ、俺がいつ少佐の身長なんぞ訊いた?」
 「おっとすまねえ、わざわざ俺ごときから聞くまでもなくご存じだよな? そりゃそうだ、なんてったって愛しの素子――っと、ちょっと待ちなタチコマ! 待った! そこに差すのは待っただ!」
 「ダメですよぅ。待ったは将棋にはないってこのあいだサイトーさんが言ってました!」
 「タチコマ、そのクソヒゲオヤジ叩きのめしてやんな」
 「了解でぇす!」
 イシカワの悲鳴を背中で聞きながら、バトーは立ちあがってハンガーを出た。これからトレーニングルームにおもむいて、気のすむまでサンドバッグを打つつもりだった。
 

(了)